専任媒介契約をお勧めしたい理由とは?

2022.03.14

仲介でマンション等を売却する場合、査定を取って売出価格の目途を付けたら、不動産会社と「媒介契約」を締結していただきます。
「媒介契約」とは、売買の仲介を不動産会社に依頼することを取り決めるもので、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。
主な内容としては、売却する物件の確定や、売出し価格、仲介手数料の支払と計算方法、不動産会社側の義務などが記されます。
そして、契約の前提として、媒介契約の種別が明示されます。
実は、不動産会社が媒介契約を売主様と締結させていただく行為は、宅建業法という法律で義務とされている、必須のプロセスです。
そこには、3種類の媒介契約が定められており、どれを使うかは、お客様の任意で選択できるようになっています。

◆◆3種類の契約の相違点とは?◆◆

法律の定め通りに3種類の媒介契約を列記すると、次の通りです。

 専属専任媒介契約
 専任媒介契約
 一般媒介契約

このように並べると、これ以上読む気にならないかもしれないですね。
ただ、世の中で不動産を仲介で売却されている方は、必ずこのいずれかを選んで、不動産会社に依頼している訳です。
内容を確認せずに不動産会社にお任せ、という方も一定数いらっしゃるでしょうが、折角本書をお読みいただいている皆様には、最低限の知識をご理解いただければと思います。

詳細を抜きにすれば、次のいずれかを、ぜひご認識ください。

(1)媒介契約に種類があることを知らなかった方
   
 特段の事情がなければ、「専任媒介契約」をご選択ください。
 その理由を知っておきたいなら、次項の ◆◆専任媒介契約をお勧めする理由◆◆ をご覧ください。
 なお、専任媒介契約では、仲介を依頼できる不動産会社が1社限りとなることを、ご承知ください。

(2)媒介契約に種類があることを知っていた方

 ご自身で勉強されている方の中には、「一般媒介契約」が売主に有利と誤解しているケースが時々見られます。
 一般媒介契約では、複数の不動産会社に仲介を依頼できるので、売却機会が広がるとか、競争原理が働くとお考えのようです。
 ただ、実情はまったく異なると言っていいでしょう。
 ぜひ次々項の ◆◆一般媒介契約をお勧めできない理由◆◆ をご覧いただき、疑問を解消してください。

ちなみに「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」の内容はかなり似ていますが「一般媒介契約」は明らかに異質です。
このコラムの末尾に、3つの契約の違いの一覧表を掲載しますので、ご関心があれば、ご覧になってみてください。

◆◆専任媒介契約をお勧めする理由◆◆
   
さて、私の見解としては、売却を真面目にやってくれそうな不動産会社をお選びになったら、その会社と「専任媒介契約」を締結されることを、お勧めしています。
もちろん、仲介の依頼先が当社であれば有難いですが、当社ではない場合でも、同じことが言えます。

専任媒介契約の特徴として、まず売主様は、1社限定で不動産会社に仲介を依頼することになり、複数の会社を同時に使うことは禁止されます。
一方で仲介を承った不動産会社には、売却を推進するためにいくつかの義務が課されるので、受託しておきながら放置する(営業しない)ような場合は違約となります。
どのような義務が課されるかというと、例えば、売却物件の情報を同業の他社に広く公開して、購入希望客を募ることが求められます。
また、売主様に対しては、定期的な営業活動の報告が必要なので、もし積極的な営業をしていないと、その状況が売主様に伝わるか、嘘の報告書を作るかのような事態になりかねません。

もっとも、専任媒介契約で仲介を承った不動産会社の多くは、こうした営業の義務の有無に関わらず、高いモチベーションを持って営業に取り組むはずです。
その理由は、ずばり、仲介料を獲得できる見込みが立っているため。
不動産売買においては、不動産会社は仲介料を売主様と買主様の両方から頂戴することができます。
従って「専任媒介契約」では、売主様側の不動産会社は1社限定ですから、その不動産会社は売買が成約した際に売主様が支払う仲介料を確実に獲得できると考えるはず。
売却を促進することが自社の利益に直結するので、営業の努力を惜しむ理由がありません。

売主様側として、専任媒介契約を利用する場合に慎重を期したいのは、仲介を依頼する不動産会社の選定です。
売買があまり得意ではなかったり、買主が支払う仲介料も絶対に自社で獲得すべく、売主様の利益を軽んじるような姿勢の不動産会社は、まず避けるべきでしょう。

◆◆一般媒介契約をお勧めできない理由◆◆

専任媒介契約をお勧めする理由の裏返しですが、私の見解としては、特段の事情がない限り「一般媒介契約」の利用はお勧めできません。
「一般媒介契約」の一番の特徴は、売主様が複数の不動産会社に仲介を依頼できることです。
同一物件を扱うので、価格や条件はすべて同じにする必要がありますが、売主様が依頼できる会社の数に制限はありません。
このため、売主様の自由度が高く、不動産会社を競わせて売却を促進できるとお考えになる方もいらっしゃいますが、残念ながら、実際の効果はその真逆と言うべきでしょう。

不動産会社側から「一般媒介契約」を見ると、物件情報の公開義務や売主様への営業報告の義務はありません。
また、契約期間も法律で限定されていないので、長期間の契約を結んでも問題ありません。
つまり、短期間でしっかり営業して売却するための取組みをしなくても、違約にはならないのです。
最悪なのは、仲介料は売買を成約させた会社だけしか頂戴できないので、売却に営業費や手間を投じても、空振りに終わる懸念があること。
売上につながらない可能性が高ければ、会社としては、多額の費用を掛けることを躊躇してしまいます。
このような認識の不動産会社を何社集めたところで、売却促進のプラス効果は期待できないでしょう。

インターネットがなかった時代は、各不動産会社からの物件情報の発信力が限定的だったので、売主様自身が多くの会社に仲介を依頼して売却機会を拡大することに、メリットがありました。
ただ、現代では特定の1社が売却情報をネット上でしっかり発信すれば、同業他社は瞬時にそれを見て、お客様に紹介できます。
「一般媒介契約」で複数の不動産会社に仲介を依頼することによる売却促進効果は、残念ながら過去の話であり、今ではデメリットの方が大きいと言わざるを得ません。

では、それでも敢えて「一般媒介契約」を利用するケースはあるのでしょうか?

主に2つの状況が考えられます。
1つは、お付き合いや知人の関係などで、ある不動産会社を使わざるを得ないが、本音では他の会社に売却を依頼したいような場合。
諸般の事情で依頼先をどうしても1社に絞れないことは、割とありがちな理由です。
もっとも、このような売主様の配慮を、声を掛けられた不動産会社側が有難いと思っているかどうかは、疑問なところもあります。
お付き合いのような場合は、「一般媒介契約」で依頼する前に、率直に聞いてみるといいかもしれません。

もう1つの理由は、売主様のご事情か不動産会社の営業方針により、その物件を売却していることを公開したくない場合です。
「一般媒介契約」なら、情報を同業他社に発信しなくても、不動産会社が義務違反に問われることはありません。

このような理由がない限り、一般媒介契約はお勧めできないことをご理解いただければ幸いです。

◆◆3つの媒介契約の比較表◆◆

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