抵当権が実行されるとどうなるのか?

2021.09.01

住宅ローンを借りてマンションや一戸建て住宅を購入した方なら、金融機関がご自宅に「抵当権」を設定したことを覚えていると思います。
抵当権の設定とは、簡単に言うと担保の一種です。
金融機関は数千万円のローンを貸し付けるので、返済が滞ってしまうと大きな損害を被る可能性があるため、合法的に回収できる方策をあらかじめ整えており、その手段がローンの対象となる不動産への抵当権の設定という訳です。
このコラムでは、その抵当権の実際について解説していきます。

◆◆抵当権の行使に至るまで◆◆
 
融資に伴って不動産に抵当権が設定されると、不動産登記簿にその旨が記載されます。
登記の本来の目的は、第三者に対して権利の状態を明示することにより「知らなかった」とは言わせないことですが、逆に言えば、貴方がいつどこの銀行からいくら借りたのか、誰でも調べることができる状態になります。
抵当権を設定した側の金融機関は「抵当権者」とも呼ばれ、貴方が約束通りの期日にローンを返済しなかった場合には、回収するために権利を行使することができます。
ただ、預金残高の確認ミスなどで一時的に少額の滞納が発生した程度では、直ちに抵当権によってローンが回収されることはありません。
後述しますが、抵当権を本当に実行するには手間も時間も掛かるので、できれば回収の手段として使いたくないというのが本音です。
従って滞納の初期では、金融機関から状況伺い程度の手紙(督促状)が送られて来るので、単なるミスなら速やかに返済すれば良いのです。
一方、貴方がもし失業して住宅ローンの返済が経済的に厳しくなっているような状況なら、話は深刻です。
2ヶ月、3ヶ月と滞納が嵩んでいるにも関わらず対応せずに放置していると、金融機関からの督促も強い表現のものに変わり、かつ頻繁に連絡が来るようになります。
そして、それでも金融機関への相談や返済がなされない場合は、将来に渡る分割払いの約束(期限の利益といいます)が失効し、いよいよ抵当権の行使とともに残債の一括返済を請求されてしまいます。

◆◆抵当権の行使が請求されると◆◆
 
残念ながら、金融機関が抵当権の行使(強制執行と言います)を決定した場合、貴方とご家族を待っているのは、棘の道と言わざるを得ません。
金融機関は法的に認められた権利を持っているとは言え、自らの実力で貸付金を回収することは禁止されているので、裁判所に対して滞納による抵当権の行使を請求します。
すると、裁判所は貴方の自宅に調査官を派遣し、室内にも上がり込んで対象不動産の状況を詳細に調べます。
調査に行くことは事前に通知されますが、それを拒否することはできず、あえて留守にしても職権で強制的にドアを開けられます。
また、裁判所が抵当権の行使を認めるとその旨が公示されるので、トラブル案件を扱う専門業者の知るところとなり、登記情報を調べた怪しげな人たちが貴方の自宅や周辺をうろついたり、詐欺まがいの営業や脅迫めいた郵便物が届くようになってしまいます。
これらによって、ご近所や親族などに、住宅ローンの滞納と強制執行が知れ渡ってしまうことは避けられません。

◆◆競売の実施◆◆

抵当権の行使の最終段階は、裁判所の管理のもとで行われる競売です。
競売では、一番高い金額で入札した人や業者がその不動産を落札(競落)することになりますが、落札価格は通常の市場価格より大幅に安く、7割程度になってしまうことが多いようです。(物件によって差があります。)
その売却代金は裁判所を経由して金融機関に支払われますが、ローンの残債が売却額より多い場合は、不足額は未返済金=借金として引続き残ってしまいます。
一方、競売の完了と同時に貴方は自宅の所有権を法的に失い、落札した人や業者が新たな所有者となります。
従って、もしまだそこに住んでいるなら、権利がないのに不当に占有している違法状態になってしまうため、ご家族共々速やかに退去して明渡さなければなりません。
これに対して抵抗したり交渉する余地は皆無で、下手に居座ったり暴力に訴えたりすれば、事件として警察沙汰になる懸念さえあります。
引っ越し費用や転居先の確保への配慮もしてもらえないので、夜逃げ同然で退去せざるを得なくなってしまいますし、そうなればその後の生活の再建も困難なのは明らかです。

◆◆抵当権の行使を避けるために◆◆
 
とても暗い話になってしまいましたが、抵当権の行使に至った場合には、実際のところ明るい未来はないと言わざるを得ません。
ただ、こんな悲しい展開を住宅ローンを貸した金融機関側もその他の関係者も決して望んでいる訳ではないので、滞納が始まったできるだけ早い段階で、強制執行を回避する道を真摯に探るべきでしょう。
羞恥心や根拠のない楽観的な見通しによって、滞納していることを誰にも知られずに乗り切りたいと思うお気持ちは、よく分かります。
人は誰でも、都合の悪い事実には蓋をして視界の外に追いやりたいものです。
ただ、結果として滞納している事実を放置してしまうと、このような最悪の結末を迎える懸念が高まるので、ぜひご注意いただければと思います。

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