机上査定と訪問査定の決定的な違いとは?

2021.10.02

当社を含む多くの不動産会社では、マンションや一戸建住宅等の「売却査定」を無料で承っていますが、価格を算定してご提示する手法には2種類あることをご存じでしょうか?
1つは実際の物件(建物や敷地)を拝見することなく、近隣の類似物件の取引事例や公的な不動産価格のデータなどから価格を推定する査定で、不動産会社のデスクで作業が完了してしまうことから、「机上査定」と呼ばれます。
もう1つは、実際の物件に調査のためにお邪魔させていただき、不動産のプロがしっかり状況を確認したうえで、その物件の特性や状況を価格に反映する査定。
これを不動産業界では「訪問査定」などと呼んできます。
2種類の査定方法は、同じ査定と言っても、ご提示する価格に割と大きな差異が生じることがあり、査定を取る目的や状況によって使い分ける必要があります。
このコラムでは、売却査定を申し込む際の留意点についてご説明します。

◆◆実際に売る可能性があるなら訪問査定を◆◆

机上査定と訪問査定を較べたとき、訪問査定の方が実際に売却できそうなリアルな価格をお示しできることは、明らかです。
不動産には、例えば同じマンション内と言えども、条件がまったく同じ部屋は存在しません。
新築マンションを買ったことがあるならご記憶かもしれませんが、お部屋の価格は広さ(専有面積)はもちろんのこと、階数(通常は高層階の方が高額)、方位、眺望、日当り、エレベーターからの距離、角部屋か否か、ルーフバルコニーや玄関ポーチが付いているかなどの多様なポイントから評価され、同じ価格が付いたお部屋は2つとありません。
まして、対象が中古住宅ということになれば、お部屋の状態(使用状況や設備の維持管理等)にも相当なバラつきが出ますので、更に価格が変わりやすくなります。
従って、今すぐではないにしても、売却する可能性があることを視野に入れて価格を調べたいのなら、「訪問査定」をお申込みいただくのが宜しいかと思います。

◆◆机上査定の使い方◆◆

一方で、机上査定の作成で主に利用するデータは、対象物件の近所で過去に売買取引された、他の物件での実績です。
要は、「同じマンション内の部屋が幾らで売れたから、面積単価から計算すると、理論値では幾らになる」というかたちで計算します。
この査定方法は決して間違いということではなく、相場の感覚を得るためには妥当ですが、それぞれのお部屋や家の特性を反映したものではありません。
例えば築20年くらいの物件では、リフォームをしたお部屋と分譲時のまま使っているお部屋では、中古物件としての価値は異なるはずですが、そのような実情は、査定に反映されていないと理解してください。
よって、机上査定は、概算の価格(相場)を知るにはとても手軽(不動産会社のスタッフが自宅に来て会う必要がない)ですが、もし売却する可能性があり、現実的な価格を知っておくべきなら、あまり向かないと言えるでしょう。
また、いくつかの不動産会社に机上査定を頼むことによって、金額だけでなく、各社がどのような営業をするつもりなのか、事前に知っておくための資料として読んでおくことは役に立ちます。

◆◆概算の価格をもっと簡単に知りたいなら◆◆

このような査定方法の違いのため、弊社では「訪問査定」をお勧めしているのですが、中には不動産会社のスタッフが自宅に来るのは困るという方もいらっしゃいます。
あくまで検討段階なので時期尚早とお考えの方から、部屋の中が片付いていないので見せたくないという理由、住宅ローン問題や相続・離婚絡みなどで家族やご近所様に決して知られたくないというご事情まで、それぞれのご意向は尊重されるべきでしょう。
また、不動産会社から執拗に営業されることを警戒して、営業マンと直接会う機会になってしまう訪問査定を拒否する方も多いように感じます。
ただし、査定のお申込みをいただいた不動産会社としては、売主様が机上査定を選択されたからと言って営業をしない訳ではありません。
弊社では経営方針として、迷惑なしつこい営業は一切しないことにしていますが、多くの会社は査定を契機として、ご売却を依頼いただけるまで営業連絡を続けてしまいます。

もし、このような営業を受けることが嫌で、本当に概算の価格だけが分かればいいという状況でしたら、個別の不動産会社に机上査定を申し込むのではなく、インターネット上で完結する自動査定サービスを利用してはいかがでしょうか。
「不動産自動査定」などで検索し、IT企業やポータルサイトが運用しているAIによるサービスを使えば、簡単かつ即座に結果を得ることができ、営業に追い回される懸念もありません。

◆◆複数の査定を比較する時の留意点◆◆

ところで、マンション等の売却に関しての査定額とは、それが訪問査定の結果であっても、売主様への売出価格の「ご提案」にすぎません。
価格を決定する権利は売主様だけにあり、売主様としては、不動産会社から聞いた査定価格を参考にして、自由に決めることができます。
(もちろん自由とは言え、明らかに相場を外した高額では、売買の成立が難しくなってしまいますが。)
ですから、もし複数の会社に査定を申し込んで、どこを選ぶか比較検討するなら、重視していただきたいポイントは価格自体よりも、どうやって売るかという方法や取組み姿勢・熱意の方です。
特に「一括査定サイト」を利用して多数の不動産会社を競わせようとしている売主様は、「会社によって査定額がこんなに違う!」というサイトの宣伝文句を真に受けて、価格にしか関心を示さない傾向が強いように感じます。
訪問査定に複数の会社を呼んで調査してもらうと、各社から示される価格には多少のバラつきが生じるのが普通。
どの不動産会社に売却を依頼するか決める際に、査定価格が一番高かったからという理由だけで判断するのはとても危険で失敗につながりやすいため、ここはぜひ慎重にご選択ください。

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