マンション売買時の仲介手数料はいくら?

2021.07.19

分譲マンションなどの不動産の売買をお考えになると、しばしば「仲介料手数料」という言葉を見聞きすることになるはずです。
売買でなくても、お部屋を借りたことがある方なら、契約時に不動産店から仲介手数料を請求されたとご記憶かもしれません。
不動産屋に行くと掛かるのが当たり前のような雰囲気を感じ、今更「これは何ですか?」と聞くのを躊躇してしまいそうですが、そもそも仲介手数料とは何でしょうか?
このコラムでは、不動産取引に関わる仲介手数料の実態や、お支払いいただく必要性などについて見ていきましょう。

◆◆仲介料は不動産会社の大きな収入源◆◆

売買などの取引を扱う不動産会社には、大きく分けると2つの業態があります。
1つは、宅地を新たに造成したりマンションを新築して分譲するような開発系の会社で、デベロッパー(開発事業者)とも呼ばれます。
このような会社では、賃貸運用するための住宅やビルの開発をしていることも多く、高い資金力と信用が必要なので、大企業が多いのが特徴です。
もう1つは、既存の宅地や住宅などの売買をしている流通系の会社で、賃貸物件の入居斡旋もしており、数としては圧倒的に多数を占めます。
駅前や街中に店を構えている不動産会社は、ほぼすべてが後者のグループで、中には有力デベロッパー系列で全国展開している有名大手もありますが、ほとんどが中小の地元密着型の企業です。
収入源の違いで言うと、開発系の不動産会社は、マンション等を分譲した際の販売差益(分譲売上から土地代・建築工事代等の原価を引いたもの)を得ることで成立しています。
一方で流通系の不動産会社では、売買等の斡旋に伴う手数料である仲介料が、事業を支える主要な収入源になっています。

◆◆仲介料とは何でしょうか?◆◆

不動産の売却では、多くの場合に仲介という手法が利用されていますが、これは不動産取引に特有の形態と言っていかもしれません。
例えば売却の対象が中古車や古本なら、取扱う店(ディーラー)が直接買取るので、その店が仲介(斡旋)という立場で買主との間に入って手数料を取る、という話になることはまずないでしょう。
もちろん、不動産の売却においても買取りサービスを利用した即時売却は珍しくありませんが、今日でも仲介が主流になっているのには理由があると思います。
まず売主様のメリットとして、買取りより仲介を利用した方が、高く売れる可能性が高いからです。
一方で不動産会社の事情としては、すべての不動産を買取りで取扱うには莫大な資金が必要になり、現実的に対応できないことが挙げられます。
ただ仲介の場合は、不動産会社はあくまで売主様と買主様を仲立ちする立場であり、売買の当事者にはならないため、売買代金も通常は不動産会社を通さずに当事者間で直接授受されます。
従って、売買が成立した際に売買代金とは別途に手数料としての仲介料をご負担いただくことで、会社を成立させているのです。

◆◆仲介料にはルールがある◆◆

売買仲介などを扱う流通系の不動産会社は、宅地建物取引業者(宅建業者)とも呼ばれます。
宅建業を営むためには国か県から免許を取得することが必要で、宅建業法という法律で業務の内容や義務が定められおり、ここには仲介料についても規定されています。
法律の定めを簡潔に纏めると、媒介(仲介)によって売買が成立した際の仲介料は、

 売買価格が200万円までの部分はその5%
 売買価格が200万円超400万円までの部分はその4%
 売買価格400万円超の部分はその3%
 上記の合計に消費税を加算した額

までを上限として、受領してよいことになっています。
横浜市等の都市圏の不動産取引で売買価格が400万円を下回るのはレアケースなので、実務的にはこうした定めを簡便な計算式に読み替えて、

 仲介料=売買価格✕3%+6万円+消費税

として算定しています。
法律のルールを破ると当然ペナルティがあるので、滅茶苦茶な高額の仲介料を請求したり、仲介料以外の名目にして費用を請求してくる不動産会社はかなり悪質です。
同時に、仲介料が発生するのはあくまで売買契約が成立した後なので、仲介を依頼しただけの段階で請求されることはありません。

◆◆実際に掛かる費用は?◆◆

では、具体的に分譲マンションなどの不動産の売買時の仲介料はいくらになるのでしょうか?
上記の計算式に基づいて算出すると、次のようになります。

 売買価格が2,000万円の場合 ⇒  72.6万円(税込)
 売買価格が5,000万円の場合 ⇒ 171.6万円(同)
 売買価格が8,000万円の場合 ⇒ 270.6万円(同)

不動産取引という大きな話の中で薄まりがちですが、絶対額としては驚くような金額ですね。
しかも不動産会社では、この金額を売主様・買主様の双方に請求することができます。
実は法律では、このような仲介料の金額は「上限」とされているので、価格競争によってより廉価にしてもお咎めがある訳ではありませんが、有名大手をはじめとするほぼすべての会社が、法律で容認されている上限額をもって自社の料金としているのが実態です。
では、高すぎると感じた仲介料について、値引きの交渉はできないのでしょうか?
結論としては、不動産会社側が受け入れるかどうかは別にして、当然できます。
同時にお客様の立場としては、高額の費用を負担される訳ですから、営業や不動産会社の対応に対して言いたいことは、一切遠慮せずに堂々と主張するべきでしょう。
ただ、売却をご依頼いただく不動産の内容や売主様のご事情によって、お取扱いの難易度に大きな差があるのは事実なので、不動産会社側からの説明や報告にも耳を傾けていただけると幸いです。

◆◆仲介料無料の宣伝にご注意◆◆

仲介料については価格競争と言えるような流れがほとんど起きていないのが実情ですが、インターネットを検索すると「仲介料無料」というタイトルで宣伝しているケースを見かけることがない訳ではありません。
高額になりがちな売買時の仲介料が本当に無料になるなら、消費者の立場からは大変魅力的ですが、果たして大丈夫なのでしょうか?
上述の通り、流通系の不動産会社にとって仲介料は主要な収入源なので、これを完全に断たれると会社が成立しませんから、何らかの別の方法でしっかり収入を得ていると思うべきでしょう。
実は、仲介料無料を掲げる際には裏側にカラクリがあるのですが、この件はまた別のコラムでお話したいと思います。
もしこのような不動産会社のご利用を検討するなら、本来の目的である売買に支障が生じないか、無料になる仕組みを十分にヒアリングしたうえで判断されることをお勧めします。

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