共有している不動産を売却する方法

2021.08.20

1つのものを複数人で持っている状態を「共有」といいます。
家族のみんなが共通で使う家庭内の身の回り品のように、緩やかで日常的な共有状態も多いですが、マンション・不動産の場合は、誰がどのような割合で持っているのかという「持分」を明確に決めて、登記簿にその旨を記載するのが一般的です。
不動産が共有という状態になる原因は、意図して共有する場合と、結果として共有になってしまう場合に分かれます。
前者は、例えば夫婦でそれぞれが頭金やローンを負担して自宅を購入する場合や、知人などが何人か集まって投資物件を購入するような場合。
また、住宅街によくある「私道」も、その道に接している各住戸で共有しているケースが多いです。
一方後者の代表は相続で、遺言証がない場合は法律で定められた「法定相続人」が「相続割合」で相続することになりますが、その範囲は亡くなった方の配偶者や子供の他、ケースによっては親やきょうだいも期せずして相続人になる場合があります。

さて、このように複数人で共有していた不動産は、平穏に所有している限りは何の問題もありませんが、共有者どうしの間で仲たがいが起きたり、共有者のうちの1人が売却して換金することを希望するような事態になると、ちょっと厄介なことになります。
恐らく、一番イメージしやすいのは離婚の場合でしょう。
また、相続についても、一旦は相続人の間で共有することを合意したとしても、その不動産(例えば実家)と疎遠な立場の相続人にとっては、持分をずっと持っていることの意義を感じにくく、処分したいという気持ちが湧いてくるのもやむを得ません。
このような場合の不動産の処分方法については、通常の売却とは異なるいくつかの手法がありますので、以下をご参照ください。
ただ、先に申し上げておくと、法律で認められているということと、遺恨を残さず円満に事態を解決するということは、まるで異なります。
困った時は専門家に相談するなど、上手に制度を使っていくことが大切です。

<共有者全員で売却>

スムーズに売却するなら、論を待つまでもなくこれがベストです。
全員で協議のうえ売却=換金することを合意できれば、共有物件だからと言う特殊性はまったくなく、通常の市場価格で処分することができます。
なお、売却代金から経費を差し引いた残金は、原則として各共有者の持分の割合によって分配しなければなりません。

<共有物の分割請求>

残念ながら共有者の間で売却することの合意が得られなかった場合は、自分の持分相当を共有物から分けて、対象物の一部分を単独所有に変更(共有を解消)することを請求したうえで、その部分を自由に売却することができます。
ただ、広大な面積の土地なら分けられますが、一般的な規模の居宅やマンションの住戸が共有財産の場合は、物理的な「分割」を行うことはほぼ不可能。
従って、このような場合の分割請求は、事実上、他の共有者に自分の持分の買取りを請求すると言う意味になります。(法律では価格賠償といいます。)
他の共有者は、持分の買取りのための資金が必要になるほか、価格を巡って利害が対立し争いになるケースも少なくありません。

<共有持分の第三者への売却>

そもそも法律上は、共有持分は所有権の一種なので、原則としてご自分だけの単独の意思で自由に処分することができます。
従って、必ずしも他の共有者の許可を得なくても、持分を第三者に売却して換金することが可能です。
ただ、実際に共有持分を安く買取っている不動産業者もあるのですが、このような形で売却した場合には、少なからず騒動に発展することを覚悟しておいてください。
なぜなら、親族でも知人でもない第三者が敢えて共有持分を買い取る目的は、その持分をあらためて他の共有者に高く売りつけるか、他の共有者の持分も買い取って最終的に単独所有にしたうえで高く転売するかのいずれかしかありません。
一旦共有者のグループに入れば、上記の分割請求を合法的に行うことが可能なので、他の共有者が分割や買取りに応じなければ、裁判所で判決をもらって強制執行されるケースもあります。
このような状況に至れば、元の共有者の間には大きな遺恨が残り、事後の人間関係の修復は極めて困難になってしまいます。

不動産の共有を始めた時に、具体的な終わらせ方を考えている方は非常に少ないと思います。
もちろん共有という所有方法にはメリットも大きいのですが、困った事態に陥った時は、専門家に相談すると同時に、共有者どうしで逃げずにお互いに誠意をもって協議してください。
相手方の要望や意見に聞く耳を持たない態度を示していると、思いがけない不利益を被る可能性があることに、ご留意いただければと思います。

今すぐ無料査定・お問合せ