2人以上で共有している不動産を処分する方法

2021.08.20

1つまたは1団のものを複数人で所有している状態を「共有」と言います。
このうち、共有物が分譲マンションなどの不動産の場合は、誰がどのような割合で持っているのかという持分(もちぶん)を明確に決めて、登記簿にその旨を明記します。
不動産が共有の状態になる理由には、意図して共有を始める場合と、結果的に共有になってしまう場合があります。
いずれの場合でも、共有という状態を始めることは比較的簡単ですが、逆に持分を処分して共有を解消したい時にはどうすればいいのでしょうか?
このコラムでは、共有持分の現実的な処分方法について解説いたします。

◆◆共有が始まる理由◆◆

前述のように、マンションや不動産が共有状態になる理由・原因は、大きく2つに分類できます。
まず、意図して共有を始めるケースとしては、夫婦それぞれが頭金やローンを負担して自宅を購入する場合や、親しい知人や親族どうしで資金運用のために賃貸物件を取得するような場合。
配偶者に自宅の所有権の一部を生前贈与するようなケースも、相続対策の一環かもしれませんが、意志によって共有状態を作る行為です。
一方、必ずしも欲した訳ではないのに、結果的に共有になるというケースの代表は相続です。
遺言状がない場合は民法に定める法定相続の制度に基づいて相続人と相続割合を決めるため、遺産が実家だけで物理的に分けられないような時には、権利がある対象者全員で共有して相続するという場合もあります。

◆◆持分の処分はできるのか?◆◆

さて、複数人で共有することになった不動産は、平穏な時には何の問題もありませんが、共有者の1人が換金を希望した場合や、共有者の間で行き違いまたは人間関係のトラブルが生じてしまうと、厄介なことになる懸念があります。
恐らく一番イメージしやすい状況は、離婚する際に夫婦の共有だった自宅をどのように取扱うべきか?についててでしょう。
実は、共有物の処分方法はいくつかあるのですが、法的な権利として言えば、共有者の間で特約でもない限り、持分を処分すること自体には制約はありません。
とは言え、共有者の間で真摯に話し合って円満に解決することが望ましいため、以下の処分方法はお勧めしたい順番で記載することとします。

◆◆処分方法1~共有者全員で売却◆◆

スムーズかつ高額で売却するなら、この方法がベストなことは明らかです。
共有者の全員が売却することに合意できれば、合わせた共有持分は100%、つまり欠損のない所有権としての売却となるので、共有状態の物件だからと言う理由によって評価が下がるデメリットを被ることなく、通常の市場価格で処分することができます。
なお、売却代金から経費を差し引いた残金は、原則として各共有者の持分の割合に応じて分配しなければなりません。
(それ以外の割合で分配すると贈与と認定される可能性があります。)

◆◆処分方法2~共有物の分割請求◆◆

共有者の間で売却することの合意が得られなかった場合は、自分の持分に相当する分を共有の対象物から分離して、対象物の一部分を自分だけの所有に変更(共有を解消)したうえで、その部分を売却することが可能です。
ただ、広大な面積の原野なら持分に応じて切り分けることもできるでしょうが、分譲マンションの一室や通常規模の住宅が共有の対象物の場合は、物理的に分割することはまず不可能。
従って、このような場合の分割の請求は、事実上、他の共有者に自分の持分の買取りを求めるのと同じ意味になります。(法律では価格賠償といいます。)
他の共有者にとっては、持分を買取るための資金が必要になるほか、売る側と買う側という利害が対立する立場になるので、価格設定を巡って争いになる懸念もあります。

◆◆処分方法3~第三者への売却◆◆

法律上は、共有持分は所有権の一種なので、原則として本人単独の意志によって自由に処分することができます。
つまり、必ずしも上記のように他の共有者にお伺いを立てなくても、持分を第三者に売却して換金することが可能です。
ただ、対象物件や他の共有者と何の縁もない第三者が、好んで不完全な権利である共有持分を購入することはまずなく、実際の購入者は持分取引を扱っている一握りの不動産業者になります。
このような形で唐突に持分を不動産業者に売却する場合は、その後のトラブルに発展することを覚悟しておく必要があるでしょう。
なぜなら、不動産業者があえて持分を買取る目的は、その持分をあらためて他の共有者に高く売りつけるか、他の共有者の持分も強引に取得して最終的に100%の所有権に仕立てて転売するかの、いずれかしかありません。
共有者のグループに一旦入れば、上記の分割請求を合法的に行うことも可能なので、他の共有者が分割や価格賠償に応じなければ、裁判所に訴えて判決をもらうケースもあります。
このような状況に陥れば、元の共有者との間には大きな遺恨が残り、人間関係は崩壊すると言わざるを得ません。

◆◆共有持分の処分がトラブルに発展しないために◆◆

共有状態を始めた時に、共有の終わらせ方まで考慮している方が果たしてどれだけいるでしょうか?
不動産会社の立場からも、ご夫婦が共有名義で自宅を購入しようとしている時に、離婚した時のことも考えておいて下さいと言える訳もありません。
共有という所有形態にはリスク分散や、住宅ローン控除がダブルで受けられるといったメリットもあるのですが、困った事態に陥った時は専門家に相談してみると同時に、共有者の間でお互いに誠意をもって協議することも大切です。
相手の希望や意見に聞く耳を持たない態度で接していると、手痛いしっぺ返しを受けることにもなりかねないので、くれぐれもご留意いただければと思います。

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