マンションの売却に掛かる時間はどのくらい?

2021.11.01

「ウチのマンションが売れるのにどのくらい時間が掛かりますか?」というご質問は、自宅不動産の売却をご依頼いただく方から、必ず一度は聞かれます。 
これに対して「仲介では3ヶ月から半年くらい見といてください。」とさらっと答える不動産会社が多いようにも思いますが、これは正確な回答ではありません。
その理由は、まず、売出し価格の設定の高低によって、売れるまでのスピードの見通しは大きく異なること。
そして誤解を生みやすいのが、いつからいつまでの期間を指して「売れるまで」と言っているのか、認識が違う可能性があることです。

売却をご依頼いただいた物件を良い条件で売るために、不動産会社としてはできる限りの営業を、惜しむことなく展開します。
それと同時に大切なのは、売主様として、いつまでにどのような状態になっていてほしいのか、具体的な希望があるなら、最初にしっかりと不動差会社に伝えることです。
売れるまでの期間の話が売主様にとって割と重要なテーマなら、漠然と一般論で受け答えするのではなく、具体的なスケジュールの目標を不動産会社と共有しましょう。
それが、お互いにとってのメリットになるはずです。

◆◆売り急ぎは避けたい◆◆

ところで本題に入る前に、まず優先して考慮いただきたいのが、自宅不動産の売却においては、売り急ぎは絶対に避けるということです。
売り急げば、必ず損をすると言っても過言ではありません。
時々見られる売主様は、ずっと売却を検討はしていたものの、ギリギリの状態に陥るまで決断できなかったというパターン。
特に、売却することが必ずしも本意ではない場合(できたら売りたくないというお気持ちが残っている場合)に見られる失敗です。

短期間で確実に売ることが必要なら、最初から相場水準より価格を下げて「お買い得物件」として売り出すか、買取りサービスを利用することになります。
仲介で通常に営業する時間が取れれば、相場並みかそれ以上の価格で売れる可能性もあるのに、切羽詰まってから相談に行った不動産会社から買取りを勧められ、結果的に安い価格を了解して大損した、という事態は、避けるべきでしょう。
売却するなら、時間に余裕をもって取り組むことが肝要です。

◆◆スタートラインに立つ前の準備◆◆

不動産会社に仲介を依頼して売却する場合、少なくとも売主様が最初に次の2つの項目を決定する必要があります。

①売出し価格をいくらにするか?
②どこの不動産会社に売却を依頼するか?

これらを決めるためには、不動産会社に査定を依頼したり、営業方法の提案を聞いたりするほか、住宅ローンの残債の確認や転居先の目途付けを、並行して進めなければなりません。
この2項目を決定して、不動産会社に正式に仲介を依頼する前の時間は、「売却にかかる時間」には含まれないので、ご留意ください。
当然と言えば当然ですが、不動産会社としては「媒介契約」という仲介をご用命いただく契約を結んでいただかない限り、売主様の自宅不動産を勝手に売ることはできません。
もし売却しなければならない期限が決まっている場合、媒介契約を結ぶ前の検討期間をズルズルと長引かせてしまうと、例えは悪いですが、ご自分でご自分の首を絞めるようなものになってしまいます。
拙速に決めるのは良くないものの、売却を決断するまでの期間については、売主様が自分でコントロールする以外にありません。

◆◆売買契約の締結がゴールではない◆◆

さて、売却のご依頼をいただいた不動産会社は、様々な方法を使ってその物件が売れるように営業を展開します。
売却の期間に特に制約がなければ、少し高めの価格から売り出して、様子を見て下げていくという対応も可能です。
逆に、時間の制約があるなら、売出価格は相場並みか、やや控え目くらいの水準に設定して、確実な売却を優先するべきでしょう。

いずれにせよ、早晩購入希望のお客様が現れ、諸条件を合意できたら「売買契約」を締結することになります。
この売買契約には、価格以外の重要な事項として「引渡し」を行う期限や、逆に「引渡し」が行えない事態なども想定されています。

実は、売却に掛かる時間の話をする際に「売買契約」を締結するまでの期間を指すのか、「引渡し」が完了するまでの期間を指すのかによって、誤解が生じる原因になることがあります。
売買契約を締結するということは、買主様もその条件をすべて合意している訳ですから、物件が中古マンションなら、大多数のケースでは契約後1~2ヶ月程度で引渡しを迎えます。
とは言え、絶対に確定とも言い切れません。
典型的な例が、買主が何らかの理由で住宅ローンを借りられない場合で、売買契約が白紙解約となることがあります。
また、売主・買主のいずれも、契約時に授受する「手付金」を放棄することで、理由を問わずに、一定の期間内は解約が可能です。
天変地異や火災の発生も、解約の理由になることがあります。
なお、解約ではありませんが、買主の都合で、売買契約から引渡しまでの期間を長めに取ってほしいと要望されることもあります。
例えば、購入後にフルリフォームをするために、住宅ローンを購入代金+リフォーム費用で申し込む場合は、リフォームのプランを作成したうえ、内装業者との工事請負契約を銀行に提出する必要があるので、どうしても時間が掛かります。

このような可能性も踏まえて、最終的に売買代金の全額が入ってくる時期、即ち引渡しを行う時期をもって売却期限としたいのなら、不動産会社にその旨も明確に伝えておくべきです。

◆◆売主様側も引渡しの準備を◆◆

売買契約の解除等の可能性は、主に買主側の事情によることを前述しましたが、売却の営業が始まったら、売主様側も引渡しに向けた準備を始めておくと安心です。
そのお部屋にまだ居住中なら、遅くとも引渡し前にお引越しをしていただかなければならないので、片づけや引越業者の目途を付けておくことは、早い段階から取組みましょう。
また、すでに空室で住民票を移している場合や、当初のご購入後に結婚されて姓が変わっているような場合は、不動産登記の情報を現状に合わせて修正することも必要です。(引渡し時に申請できるように準備をしておく。)
住宅ローンを借りている銀行には売却の予定を連絡し、残債の一括返済について事前に話を通しておきましょう。

売買契約を締結する前に、買主側からも売主側からも、引渡しの時期をいつ頃にしたいか、希望を言うことができます。
ただ売主様としては、やむを得ない理由がない限り、引渡しをあまり先伸ばしするのは避けた方がいいでしょう。
買主様が契約してから早々に居住したいと思っている可能性もあり、困惑させることになってしまいます。
逆に、例えばお買い替えなどで、引越しできる時期が少し先になることがあらかじめ分かっているのなら、売却営業をしている時点で購入検討客に説明しておけば、無用のトラブルを生じさせる心配がありません。

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